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ミニコラム vol.5:宇宙での発芽実験 🚀

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重力がない場所でも、野菜は育つのか。


宇宙農業の歴史

日本の宇宙農業研究は約30年前、宇宙科学研究所(ISAS)が火星での有人活動を目指してスタートさせた。当初から「人間が長期間宇宙で生きるためには食料を自給しなければならない」という課題があった。

国際宇宙ステーション(ISS)のロシアモジュールでは、「ラダ」と名付けられた植物栽培実験装置が2002年から8年間にわたって稼働し、レタス・エンドウ豆・ラディッシュ・穀物が栽培された。


宇宙で植物が育つのは難しい

植物は宇宙という地上とまったく異なる環境でも育つことができるのか、現時点では人が生命を維持するだけの植物を宇宙で育てることはできない。

宇宙での栽培が難しい理由

①重力がない
植物の生育に一番影響を与えるのが重力で、国際宇宙ステーションにはごくわずかな重力(微小重力)しかなく、重力がないと空気の対流が起こらず、植物自身の温度が上昇して生育を妨げてしまう。

地球:重力がある
 ↓
根は下に・茎は上に伸びる
 ↓
宇宙:重力がない
 ↓
根も茎もどっちに伸びればいいかわからない
 ↓
光の方向を頼りに成長する

②受粉ができない
自然界では重力・風・昆虫のおかげで受粉できているが、宇宙ではそのどれもがない。受粉用のロボットについての研究が進んでいる。

③水の流れが変わる

地球:水は重力で下に流れる
 ↓
宇宙:水が球状に浮かぶ
 ↓
根への水の届け方が全然違う

実際に宇宙で育てられた野菜

野菜 実験場所 結果
レタス ISS 成功・宇宙飛行士が食べた
ラディッシュ ISS 成功
エンドウ豆 ISS 成功
トマト ISS 実験中・地上と異なる性質
サツマイモ 研究中 有力候補
JAXA研究中 月面農場構想で検討

宇宙に持っていったトマトの種はどうなった?

宇宙に持ち込んだトマトの種は、走査電子顕微鏡で地上のものと比較したところ表面に細穴が見られ、表面の層が地上のものより薄いことがわかった。また、宇宙に持って行った種から育ったトマトはミネラルの割合が少ない一方で、炭水化物の割合が上昇し、発芽率が下がっている一方で成長はしやすいことが示唆された。

宇宙トマト:
・発芽率は低い
・でも育ち始めたら成長が早い
・ミネラル少なめ・炭水化物多め
 ↓
宇宙環境が野菜の性質を変える

2021年:ISSでレタス栽培成功

2021年、JAXA・竹中工務店・キリン・東京理科大・千葉大学との共同研究で、宇宙での袋栽培レタスの実証実験をISSの「きぼう」で実施し成功した。

袋型培養槽技術を使用
 ↓
密閉した袋の中で栽培
 ↓
雑菌の混入を防ぐ
 ↓
コンパクトで宇宙向き

将来の宇宙農業

JAXAは月近傍の宇宙ステーションを建築する深宇宙ゲートウェイ構想のもと、地上の最先端植物工場技術を導入した月面農場システムを検討している。放射線の影響を避けるため栽培エリアと居住エリアはともに地下に設計され、長い円筒形のエリアで稲を栽培する効率的なデザインとなっている。


宇宙農業と家庭菜園の共通点

宇宙農業の課題:
・水をどう届けるか
・栄養をどう循環させるか
・病害虫をどう防ぐか
・土がない環境でどう育てるか
 ↓
全部家庭菜園と同じ問題
 ↓
ただしスケールと制約が桁違い

宇宙農業の研究成果が地上の農業に応用されることもある。水耕栽培・植物工場・LED照明農業は宇宙農業研究から生まれた技術だ。


植物が宇宙飛行士に与える影響

植物と作業することで宇宙飛行士が落ち着くことがわかったため、ISSでのストレスの多い時期には植物と作業する時間がさらに増えた。食物とは関係なく、宇宙に植物を置くことの大きなメリットだ。

宇宙という極限環境で
植物を育てることが
宇宙飛行士の心を安定させる
 ↓
家庭菜園が心を癒やすのと同じ原理
 ↓
人間は植物と一緒にいると落ち着く生き物

重力がなくても、水が浮いても、
植物は光に向かって育とうとする。
その生命力は宇宙でも変わらない。🌱


アーキテクト式農業シリーズ ミニコラム vol.5

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